游々生薬街 ルンビニ(ネパール) 2026
年末年始にかけてまたもネパールを訪れた。
最初の目的地はネパールの南部でインドとの国境近くのルンビニという仏教の四大聖地の一つに数えられお釈迦様が生まれた場所である。
お釈迦様が悟りを開いたのはインドのブッダガヤであるが、実はネパールの出身なのである。
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日本の建築家丹下健三の設計により整備された敷地内にアジア各国の寺院が建立された公園となり世界各国から信者や観光客が訪れている。
あまりに広大なため、仏陀生誕の場所としてアショカ王が置いたとされるマークストーンに参拝するのが精一杯であったが、寒空のなか多くの人で賑わっていた。チベットの僧侶たちが大きな声で読経したり、菩提樹の下で静かに読経する姿が印象的であった。
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ルンビニの東方バスで約1時間ほどのバイラワという街に宿をとり、翌日はバイラワで週2回開かれるハート市と呼ばれるマーケットを散策した。
日曜雑貨、野菜、果物、衣類が道沿いに所狭しと並べられ、飲み物や軽食を売る屋台も繰り出し賑わっていた。

どうしても気になるのが調理に使うスパイスや穀物類を扱うお店である。
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もともと南アジアで使われるスパイスの中には漢方薬の材料とされるものが多く含まれている。ターメリク(ウコン)、シナモン(桂皮)、クローブ(丁子)、フェンネル(ウイキョウ)、ナツメグ(ニクズク)、八角(大ウイキョウ)などがあるが、日本でも調理に良くつかわれるショウガ(生姜)、サンショウ(山椒)も立派なスパイスであり漢方薬でもある。
それらが米や豆などと一緒に並べられていて、人々は計量で購入する。まさに医食同源の世界であり、きっとお釈迦さまも口にしていたと思うと悠久の智慧の流れを感じずにはおれなかった。

その後カトマンズに戻り見事な彫刻の施された古い寺院群や街並みがある世界遺産のバクタプル、パタンに滞在した。

生活と信仰が一つになった空気が街全体を包み無数に存在する神仏の聖堂には朝暗いうちから人々が訪れ、神仏に触れては祈りを捧げ、お香、花、米が絶えず供えられている。

最後の日の夕方パタンの路上で見慣れぬ乾燥植物や鉱物を売るオバサンに遭遇。
甘草(カンゾウ)やシナモン(桂皮)などを置いているところを見るとおそらくはチベットの薬材を売っているのであろう。
茶色い丸い石は脱毛や傷に治療に使うと言い、台座の石に数回擦り付けて私の腕に当てると火傷するかと思うほど熱を発した。
その他に白い貝殻を砕いた様な石は耳の治療に用いるそうだ。
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チベット医学は多くの種類の鉱物を利用することは何かの本で読んだことがある。他にも見知らぬ薬草らしきものが並べられていたが何かは分からない。
ネパールはヒンズー教と仏教が混在する国であり、仏教はチベット仏教の流れを汲み多くのチベット仏教寺院が存在し、赤茶色の法衣を纏ったチベット僧も数多くみかける。
ヒマラヤを超えてチベット医学が入ってきていても何の不思議もない。ひょっとするとそれらの薬材はヤクの背中に乗ってヒマラヤを超えてきたのかもしれない。
記念に茶色の丸い石を購入、一個200円。

ネパールはチベットとインドに挟まれ、北は神々が鎮座する氷雪のヒマラヤ、南は仏陀が生まれた亜熱帯の豊饒なタライ平原、そして中央には古代中世の建築文化が色濃く残されている。
またもネパールの奥深さに魅せられた旅であった。

