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本草歳時記 18 クチナシ

初夏、梅雨の時期を迎えクチナシの白い花が甘い香りを漂わせている。
食べられそうな無垢の花弁は2、3日もすると朽ちて濁ってしまう儚い花である。
「クチナシの白い花 お前のような花だった」と歌われた心情が何となく分かる気がする。

花を落とした後に育つ実は秋を迎えると赤く色づく。これが今回の主役、梔子(しし)あるいは山梔子(さんしし)と呼ばれるものである。昔から着色料として鮮やかな黄色に染まり、布の染色やお正月の栗きんとんの色付けなどにも使われる。

漢方薬の作用は消炎・解熱であるが、主に血に熱が絡んだ際に用いられる。古い処方としては黒大豆の納豆(香鼓)と組み合わせた梔子鼓湯があり、胸中に熱がこもり何となく悩ましくて眠れない場合や心中が痛む時などに使われてきた。
梔子を含む処方は数が多く漢方には欠かせない生薬である。
「黄連解毒湯」はアルコールの解毒作用があり二日酔いに効くが、血熱を除くことで皮膚の痒みやアトピー、そして不眠・不安などの精神疾患、さらには出血にも効果がある。婦人科の有名な処方「加味逍遥散」にも含まれておりイライラ、不眠、動悸などを和らげる働きがある。

 

中國の自然哲学では森羅万象を五つの範疇に分類する。いわゆる五行と呼ばれるものであるが、赤は心臓の色とされ、心臓は赤い血液を全身に発する臓器である。そしてクチナシは太陽の日差しがさんさんと注ぐ場所に育ち、その赤い実は漢方の気味(きみ)では苦・寒とされ、苦は心に働き寒は熱を冷ますとされる。古代の人々は人間を自然と一体だと捉え、生薬の効果はその物質の持つ色や味あるいは生息環境などから探求されたと想像できる。

 

イライラや不安などの精神的ストレスが過剰になると身体内部で熱が生じ、それが様々な病気の原因となる。自然界にはそれを解決する物質がちゃんと用意されている。やはり人間は自然から離れては存在しえないような気がする。エディブルフラワー(食べられる花)クチナシも甘くておいしいそうだ。

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