游々生薬街 ポカラ・カトマンズ(ネパール) 2024
2023~2024の年末年始をネパールですごした。12月30日にカトマンズに入り翌朝ポカラ目指してバスに乗り込んだ。
バスを利用したのは40年ぶりのネパールをじっくり味わいたい気持ちからだった。高速道路建設補修工事のため通行に支障をきたし通常5時間のところ悪路に9時間も揺られることとなったものの、道中飽きることなく相変わらずのネパールを満喫した。
ポカラを目指した理由のひとつにもう一度ヒマラヤを近くで眺めてみたいとの思いがあった。そして偶然にも現在治療をしているネパール人の故郷がヒマラヤの絶好のビューポイントとして知られるガンドルンなのだ。ポカラからバスで4時間のガンドルン村の一番高いところにあるのが彼の弟さんの経営するホテルDANDAGAUNである。朝まだ浅暗いうちに起だすとすでに目の前には朝日に赤く染まるアンナプルナ、マチャプチャリの雄壮な姿が迫っていた。自然はやっぱり偉大だ。食事はおいしくホテルのもてなしも最高だった。
そしてポカラを訪れたもう一つの理由がチベット医学の薬材を扱う店を探すことにあった。ネパールとチベットは古来交流が盛んであり当然チベット薬材を扱う店もある筈と踏んでいた。地元の人に聞いてもよくわからず、仕方なくポカラ市民の生活の中心ニューバザールをあてもなく歩き廻った。やっぱり無理かと諦めかけていた時、いくつもの水色のビニール袋に馴染みのある品々が納められた光景が飛び込んできた。「あった!」やはり求める者には与えられるのか。
当帰?甘草?草豆蔲(ソウズク)?遠志(オンジ)?はっきりとはわからない。チベット医学では多種の鉱物を使うらしいが、水晶、紫水晶らしきものも見える。そしてネパールでも採れることで知られる「冬虫夏草」はある?と尋ねると奥のほうから持ってきた。虫の幼虫に寄生したキノコの菌が幼虫を食い尽くしてキノコとなったもので滋養強壮に優れ、肺・腎の機能を高めるとされ中医学でも盛んに使われる。ポカラよりかなり北西部のムスタングやジュムラと呼ばれる高地などから入ってくるらしい。ネパール名は「ヤサインクンバ」だろうか。大きいもので一匹600円ほどだ。
念願叶いポカラを後にカトマンズにもどった。カトマンズ市内では目にすることはなかったが、郊外のボダナートと呼ばれるチベット仏教の寺院を訪れた際、道端にチベット薬材の露店を発見。ポカラ同様水色のビニール袋に入れてあり人々が気軽に購入していた。
チベット医学は、インドのアーユルベーダ医学、中国の中医学の影響を受けているようだが、特にインドから仏教がもたらされた際に一緒に伝えられたとされ、その後厳しい自然環境の中で中国の影響を受けながら独自の発展を遂げたのであろう。
ここ、ポカラ・カトマンズはアーユルベーダがチベットに伝えられチベット医学として発展するための重要な経路でもあったのだ。