本草歳時記 14 紫蘇
暑い夏、色々と物議をかもしたオリンピックが終わった。懸命に闘うアスリートの姿はやはり心を熱くする。そして随分と日の丸が上がったようであるが、パラリンピックにも期待したい。
ちょうど夏の土用の時期に重なり、我が家では梅干しの土用干しを行った。
梅干しを作るには赤紫蘇が必要である。今年は気づくと畑に紫蘇が一つ芽を出し、梅雨の時期みるみる育ち80センチほどの株になった。どこからか種が飛んできたようだ。
ご近所の庭で収穫して塩漬けした梅にこの紫蘇を加え淡い紅色の梅干しが出来上がった。
紫蘇の葉は漢方では蘇葉(ソヨウ)と呼ばれ、風寒(ふうかん)を払い、気を下し、お腹の張りを除くなどの効果がある。夏カゼやこの時期に多い下痢嘔吐、咳の処方に用いる。
また紫蘇の実は蘇子(ソシ)と呼ばれ、主に胸中に働き、痰を除き咳や喘息の処方に使われる。
昔から紫蘇には解毒作用があるとされ特に蟹(カニ)の中毒に有効とされてきた。
このように紫蘇には漢方的観点からも様々な薬効がある。ちなみに紫蘇の紫の色素「アントシアニン」はブルーベリーにも多く含まれ、有害な紫外線から身体を護る働きがあるとされる。
紫外線が強く、暑さや冷たいもので胃腸の働きが弱る夏の時期に、我々の周りには生命を護る植物が供えられており、私たちは古代よりの智慧としてそれらを活用してきた。そしてこのことからも、旬の食材を摂ることの大切さを実感せずにはいられない。
私は昼食に弁当を持参する。おかずは畑でとれた野菜を使い、ご飯は三分搗きの玄米に雑穀を加え中心には梅干しが鎮座する。ご飯の器は「日の丸弁当」である。特に愛国主義者ではないがずっとこれでやってきている。まあある意味人生のアスリートと呼べないこともないが・・・。
免疫力を養い様々な病気と闘うためにも食餌は大切なことの一つに違いない。そして病気は「気が病む」と書くように、心の健康も重要だ。
様々な精神的ストレスにさらされる日常、心を護るアントシアニンを培うことも忘れてはならない。
ところでコロナどうなっちゃうのかな?