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本草歳時記 10 ヨモギ

新緑の季節、私の職場のある四谷でもJR四ツ谷駅付近の土手ではヨモギ、土筆、アザミ、ヤブカンゾウ、ワラビなど食材に用いられる野草が春の柔らかな日差しを受けて気持ちよさそうに顔を出している。先日、春の味覚「草餅」を味わおうとヨモギ摘みに出掛けた。先端のなるべく柔らかな部分を茹でて細かく刻み餅に突き込み頂いた。特有の草の風味と苦みが小豆の餡(あん)に絶妙にからみ美味かった。漢方の考えでは春は「風の季節」であり風が様々な生命の発生を促し、芽吹かせる「発生の季節」である。ヨモギから「発生の気」を体に取り込み私も少しは活力が出たかも知れない。我々の周りには季節ごとに心身のエネルギーを高めてくれる食物が沢山ある。旬の食材を体に取り入れることは、人間も自然の一部である以上最も理にかなった食生活であると私は思っている。

 

さてヨモギであるが、これは食材だけではなく漢方薬、さらにはお灸のモグサとしても利用され私の職業には欠かせないものである。薬効としては止血・活血の働きがあり、女性の不正出血の処方や吐血・喀血を止める処方に配合されている。そしてお灸であるが、伊達にヨモギがモグサに使われている訳ではない。燃やすことでその成分が皮膚に浸透し、熱との相乗効果で血行を促進し筋肉を緩め痛みを取り除く。更に驚くべきことはその活血の働きが免疫を担う白血球の作用を活発にすることである。古代の戦場においては傷にお灸を施して止血と共に化膿止めを行っていた。また、かつては不治の病と恐れられた結核にもお灸が随分と治療に用いられた。お灸は免疫力を上げるのだ。結核がいまだに流行するアフリカでは高価な治療薬が買えない人々に対してドイツ人の活動家がお灸の仕方を教えて可成り効果を上げていると聞く。

 


コロナウイルスに見舞われ戦々恐々とした毎日を送っている今日、ウイルスを叩く有効なワクチンや治療薬を考えるのも良いが、自然界の力を用いて免疫力を上げる漢方薬や鍼灸の治療に目を向けるのも一つの方法である。その予防や治療に十分効果を発揮するはずであるし、事実ずっとそうやって来た。今回の騒動を通じて何故か人間の根本的な生き方が問われている気がしてならないと思うのは私だけか。さあ気晴らしにまた四谷の土手に食材探しに出かけるとしようか

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