游々~漢方街1 台北(台湾) 2013
今回は台湾・台北にある迪化街を覗いてみました。
薬科大の学生だった時に訪れて以来、今回が二度目の台湾である。台湾は私にはとても居心地のよい国である。食べ物が美味しく、治安が良く、親日的な人が多い。そして何より漢方が盛んな国であるからだ。
9月8日 午後3時頃迪化街に到着。また来たぜ!昔ながらの古い建物を残す通りには相変わらず延々とお店が並んでいる。生薬と乾物を一緒に置いている店が多く、漢方問屋や漢方薬局も結構ある。生薬は朝鮮人参、甘草、棗、クコ、蓮の実、当帰などが目立つ。乾物はカラスミ、貝柱、きくらげ、ナマコ、ドライフルーツ、カラフルな花茶、各種豆類、・・・。台湾は共働きの家庭が多く、食事を外で済ませたり、テイクアウトする人が多い。そのため食堂や惣菜を売る店が日本と比べてはるかに多い。それらの店の多くがこの界隈で食材を調達するのだろう。医食同源の国だけあって料理にも漢方薬が沢山使われている。私のお気に入りの肉魯飯(るうろんはん)にも確かに八角(大茴香)が使われている。インフルエンザの治療薬タミフルはなんとこの八角から作られる。以前、当帰羊肉湯なるスープを食べたが、その中に当帰、羊肉、生姜、地黄などが入っており、漢方薬そのままをお腹に入れている気分だった。当帰は造血作用に優れ、羊肉は肉の中でも特に腹中を温める力が強く、生姜は胃を温め身体全体の気の巡りを活発にし、地黄は身体を潤し虚熱を除き老化を防ぐ。実際に、地黄は入らないが「当帰生姜羊肉湯」なる処方があって冷え症や腹痛に用いられる。当然、冷え症の婦人の生理痛にも良い場合がある。また道端で蓮の実(蓮肉)とクコを甘く煮たデザート?だけを売っている屋台などもあって結構ファンがいたりする。私もつい食べてしまった。想像するに台湾の人々は自分の体調に応じてどの食事が良いかを体験的に知っているのだろう。
さて2時間ほどお店を渉猟すると流石に疲れた。夜の帳(とばり)が降りはじめ台湾名物の夜市に出かけるのに程良い時間となった。帰る途中に寧夏街夜市がある。缶ビール片手に漢方薬入りのソウルフードをチョイス。やっぱり台湾いいね。